「Intensity」は、イスラエルのHanita Lenses社より発売された世界初の5焦点眼内レンズです。2020年に日本で取り扱いが開始され、当院でも導入を決定しました。
従来のレンズにはなかった大きな特性として、遠方・遠中・中間・近中・近方の幅広い焦点域(5焦点)に対応し、日常生活のあらゆる場面をカバーできるようになりました。
Hanita社独自のアルゴリズムとテクノロジーにより瞳孔径ごとの光配分を最大かつ最適化するため、3焦点レンズに比べてエネルギーロスが大幅に減少され、スムーズで連続した見え方が実現します。
【3焦点眼内レンズ:PanOptix(パンオプティクス)】
ヨーロッパでは数年前から使用されており、ヨーロッパでの使用率No.1のレンズです。
ようやく国内で承認され、2019年10月より一般販売となりますが、当院では先行して、2019年6月より使用可能となっております。
従来の多焦点レンズは2焦点が主流でしたが、PanOptixは、『遠く』『中間』『近く』にピンとが合うため、より快適な視機能を提供することが可能になりました。また、新しいテクノロジーを搭載しており、見え方の質が従来の眼内レンズより高くなっています。
外傷やzinn小帯断裂などで眼内レンズを挿入できなかった患者さんに使用するIOL(眼内レンズ)です。
今までのレンズは乱視の治療ができなかった事と、手技が煩雑であった為、良好な裸眼視力を得る事は難しかったのですが、このレンズは乱視の治療も一緒にでき、目に対する負担も少なく裸眼視力向上を目的としています。
白内障の治療では濁った水晶体を取りのぞいて、人工の水晶体として眼内レンズを入れる手術をします。
眼内レンズには「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の二種類があります。
多焦点眼内レンズは単焦点眼内レンズと異なり、近くと遠くの両方にピントを合わせることでができます。単焦点眼内レンズと比べて、暗いところ(夜間)で光を見た時に光を眩しく感じたり、ぼやけて見えることが起きやすくなります。
ピントを合わせる調整力がありません。遠くに合わせると近くが見えなくなり、近くに合わせると遠くが見えなくなります。手元を見る時にはピントが合いませんので、近用眼鏡が必要になります。
■見える範囲
狭い 手元から遠くまでのある1点のみ よく見える。
■見える質
良い ピントが合う1点はとても良い。
遠くと近くの両方にピントを合わせることができます。近くも遠くもしっかりと見ることができる実用的なレンズです。
ただし、自由にピントを変えることができる若い頃の見え方を再現できるわけではありません。
非常に実用的である多焦点眼内レンズですが、以下のような方は適応が困難です。
■見える範囲
広い 手元から遠くまで見える。
■見える質
おおむね良い ピントが少しあまい。
【注意点】
夜間の車のライトなどが眩しく見えたり(グレア)、光の輪が見える事(ハロー)が起こりやすくなると言われています。手術後の時間の経過と共に慣れてくると言われています。かなり個人差があり、知覚されない方は多数あります。
手術のやり方は多焦点眼内レンズを使用する場合も単焦点眼内レンズを使用する場合も手術方法は同じになります。 多焦点眼内レンズは厚生労働省が認める先進医療となります。多焦点眼内レンズを使用する白内障手術は健康保険対象外のため、自費負担となります。